あれやこれやと瞑想の最中

アイドルが好きなOLです。

「光を入れて、正しい世界で生きるのよ」(MORSE観劇)

 
 
 
侮っていたのかもしれない、と思った。自分勝手にも、精一杯応援し、想い、期待し、心の拠り所とし、信頼を寄せながらも、もしかすると、どこか心の深い深い奥底、無意識の中で、『小瀧望』というアイドルのことを侮っていたのかもしれない。
 
 
 
2015年11月、私は、舞台『MORSE』を観劇し、『小瀧望』というアイドルがわからなくなった。
 
 
◎望くんとオスカー
舞台前の望くんは、オスカーを、『ピュアでまっすぐな愛の持ち主』と説明していた。
(以下、望くんが様々な雑誌でオスカーについて話した言葉たち)
 
 
「12歳なりのリアクションは考えています。エリのセリフで、私が女の子じゃなかったらどうする?というのがあるんですけど、その時に19歳の俺やったら、なに言うてんの?って笑いながら言うと思うんですよ。でも12歳のオスカーはそれを真に受けるんですよね。それ、どういうこと?って。そこの違いやと思うんですよ。オスカーはすごいピュアで素直な子なので、そういう細かいリアクションをつめていけたらなと思います。」(TVぴあ2015年11月18日号)
 
「僕が演じる12歳の主人公、オスカーが本当に一途な愛の持ち主で、ピュアだなと。僕はここまでできないなって思いましたね。」(BEST STAGE2015年12月号)
 
「オスカーについてはまだまだ手探り中ですが、ものすごくピュアというか、あの年頃だからこそ、物事をダイレクトに受け止める素直さを感じます。」(STAGE SQUAREvol.17)
 
 
僕にはオスカーのようにできないな、と言いながらも、オスカーを表し色付け造る望くんの言葉たちは、まるで望くんの本質を示しているようで、オスカーを正反対の存在のように伝えながらも、どこかオスカーは望くんに近くも思えるように、私は感じた。(望くんもピュアで素直で愛を持ち生きていると、私は勝手ながら思ってる)
 

 また、望くんが年齢について不安を持っていたような言葉が各誌面で並んでいたけれど、オーウェンが12歳設定であることは、特に不安要素ではなかった。というのも、かつて、桐山照史くんと神山智洋くんがブラッドブラザースで幼少期を演じていた姿を見ていたので、そこまで違和感はないのかなぁ、と思っていたし、きっと望くんが演じる12歳は可愛いくて仕方ないんだろうな、くらいに思ってました。



◎オスカーとエリ

「サスペンスとかホラーとも言われてますけど、しっかりとしたラブストーリーが描かれている印象でした。でも本当にいろんな要素が入った作品で、だからこそ難しいかもしれないけれど。ひとつひとつを丁寧にやっていきたいなと思いました。」(BEST STAGE12月号)
 
『MORSE』という物語の中で、最も重要だろうと思われたのが、オスカーとエリの恋だ。望くんの言う通り、背景にもたくさんのコトが見え隠れしている物語であったが、しっかりとしたラブストーリーだと感じることができた。その中でも、エリとオスカーの距離感が特に気になる部分だった。

・オスカーとエリの距離
オスカーとエリは、出会いから惹かれあっていく過程の中、心の近さと物理的距離が同じように表現されている。ルービックキューブをきっかけに隣に座る2人、においを嗅ぐ時、ダンスを踊る時、お菓子を拒む時、ベッドシーン、約束、全てにおいて共通している。エリは、オスカーが人間であることを思い出したように、自分とは住んでいる世界が異なると自覚した時には「これ以上近づいてしまったら」と距離を取っているように見えた。また、オスカーのぐんぐんと近づいていく姿が、まだ何も知らない12歳という感じがして、エリとの精神的年齢の差を感じられたポイントである。
 


◎オスカーの表情
悲しみと恐怖に溢れている表情は、小瀧望という存在が幻のように感じるほど、彼はオスカーだった。私の知らない人のようだった。小瀧望があたかもオスカーであったように、なんのためらいもなく12歳の孤独な少年がそこにはいた。
私が特に好きなシーンは、エリと別れて、一人でお菓子屋さんに入り、おじさんに「もう来ないでくれるかな」と言われる場面。あの数十秒の儚い表情をきっと忘れることはないと思う。



◎音
舞台モールスを創り彩り観客を引き込んでいく力のひとつが劇中に流れる音楽である。
冒頭の電車が走る音は、私たちの生きる現実、まるでグローブ座入り口から見える電車(グローブ座を目指す間に耳に入る音たち)を彷彿とさせた。そこから『MORSE』の世界は既に始まっていたのかもしれない。(電車のシーンから始まり、電車の中で光を見上げるオスカーのシーンで終わったところもまた)
 


 
 
◎「光を入れて、正しい世界で生きるのよ」
 
「ハードルが高いです。やっぱり、日本初上陸っていう言葉が重くて。もちろんどんな作品も失敗できないんですけど、より意識しちゃいますね。
 心の中ではずっと悲鳴をあげてて、誰かに助けて欲しかった。
でも助けてくれるメンバーはいなくて、徐々にこういうところでメンタルが鍛えられていくのかなと思いました。」
 
望くんのこの言葉に、私はずっと引っかかっていた。初舞台で初主演最年少初座長、本当に大丈夫なのだろうか。(淳太くんにめそめそ言ってたと聞いたこともある)きっと望くんのことだから大丈夫だろうな、と思いながらも、凄く心配で。だからこそ、望くんが望くんなりに頑張ってくれたら、結果はどうであれ私は満足だ、と酷く侮っていたのかもしれない。何があっても私は望くんをきっと褒め讃えていたと思う。
 
でも、そんな風に思っていた自分が恥ずかしくなるくらいに、望くんはオスカーだった。
 
 
「自分自身の成長が楽しみですね。確実に成長するだろうし、成長しないといけないですし。たくさん厳しいことも言っていただきたいです。メンタルは正直心配ですけど、そういうことも経験しないと成長しないし、上には上がれないので」

 
「上には上がれないので」
初めて、自担の初舞台を観劇して、可能性なんて私たちが決めることでも誰が決めていいものでもないのだな、と再び思える、自分の価値観までも考え直すことのできる良い時間だったなと思います。
小瀧望というアイドルがわからなくなった」もうそれで良いんだと思う。それが正解なのかもしれない。小瀧望の持っている、またこれから得ていくであろう大きな可能性に私はきっと振り回されていくんだろうな、と思いました。(勿論尻尾振ってついてくよ)(その度にもっと好きになる)
 
 
 
  
「自分がこの世界に入り込んでお客さんに何か伝えたい、感じてもらいたい。お客さんを『MORSE』の世界に引きずり込めてたら、という気持ちでいます。」

 日本の大都会、東京に佇む東京グローブ座の中で生きるオスカーに導かれ、『MORSE』という世界に引きずり込まれたのは、きっと私だけではないはず。

「光を入れて、正しい世界で生きるのよ」

 あの日、光を見上げた彼の瞳を私は忘れない。